こんにちは。Gigantic Engineerです。
今年もあと2ヶ月をきりましたね。
来年からNISAのが変わり、これを機に投資を始める方もいると思います。
最初は投資信託でインデックス投資が無難ですが、慣れてきたらそこから投資の幅を広げるのもいいと思います。
投資のスタイルは人それぞれだからこそ楽しみがあって、私もまだまだ模索中です。
今回は投資の初心者こそ、チェックすべき「金利」についてお話します。
まず、大原則として今よりも将来の景気が良くなる、と判断してから投資をしますよね。
将来景気が悪くなりそうな会社や国には投資しませんよね。
そんな将来の景気や経済を予測するときに役立つのが金利です。
金利は「経済の体温計」とも呼ばれています。
景気が良くなり、物価の上昇局面では金利も上昇する関係にあります。
しかし、金利は「〇〇会社の株式」のように限定的な会社の業績を予測するには直接役立つものではありあせん。
財務状況に加えてPERやPBRなど、指標を読み取る必要があります。
金利はもっと広く、市場全体の景気を予測するために効果的です。
投資でチェックする金利とは?
「金利」と聞いて何を思い浮かべますか?
住宅ローンやキャッシングなどが出てくるのではないでしょうか。
間違ってはいないのですが少し違います。
ここでお話する金利は「短期金利」と「長期金利」です。
短期金利、長期金利とは?どうやってきまる?
短期金利
短期金利とは、銀行間で貸し借りする市場で用いられる金利です。
日銀、メガバンク、地銀など、銀行同士で貸し借りする市場を「コール市場」と呼び、そこで用いられる金利を「コール金利」と呼びます。
このコール金利が短期金利です。
日銀はこの短期金利をコントロールしています。
ポイントは、「短期金利を〇〇%に決めました。みなさんこれに従ってください。」というのではなく、日銀が市場に出回るお金の量を調整して〇〇%に仕向ける、ということをしています。
この仕向ける金利を政策金利と言い、その時の景気をみて中央銀行(日本では日銀)が判断しています。
長期金利
長期金利は、短期金利(政策金利)と連動しています。
将来の短期金利を先取りするように長期金利は決まるのです。
さらに、長期金利は短期金利に加えて将来の市場の評価や見通し(=将来の景気)が含まれます。
例えば、
「今後、どれくらいのペースで成長していくのか」
「物価はどれくらい上がっていくのか」
というカンジです。
すなわち、長期金利は将来の景気を先読みしている、と言えます。
長期金利が先読みしていた例:リーマンショック
ここで長期金利が株価暴落を先読みしていた、株価よりも金利が先に下降し始めた例を見てみましょう。
2008年にアメリカで起き、世界に影響を与えたリーマンショックを例にします。
リーマンショック
アメリカで住宅バブルが崩壊したのをきっかけにアメリカ金融大手の「リーマン・ブラザーズ」が2008年9月15日に経営破綻しました。これによりアメリカのみならず、世界的に金融危機と株価暴落が起きました。また、アメリカ以外の主要国は住宅バブルがきっかけであることを知らず、景気後退への対応が遅れたため各国でさらなる株価暴落が起きたのです。発端となったリーマン・ブラザーズの名前をとって「リーマンショック」と言われています。
詳細はこちらをご覧ください。(日経電子版の記事に飛びます。)
リーマンショックが起きる前後の金利、株価、商品の動きを時系列で並べてみました。
- 2007年6月
-
金利が下落に転じる 常に上げ下げしているが、景気後退局面に入る直前に高値をつけて下落を始めた。
- 2007年10月
-
商品が下落に転じる 金利に続いて商品が高値をつけて下落に転じる。
- 2008年7月
-
株式が下落に転じる 金利が転じて1年後に株式が下落し始めた。
- 2008年9月
-
リーマンショック リーマン・ブラザーズ経営破綻。
- 2008年12月
-
金利が上昇に転じる 後退局面から回復局面に移る直前に安値をつけて上昇に転じる。
- 2009年3月
-
商品と株式が上昇に転じる 金利に続いて商品と株式がほぼ同時に上昇に転じる。
このように、リーマンショックの前後において景気後退局面に移る時も、上昇局面に移るときも金利が先行して動いています。
他の指標がある中で金利に注目するメリットは?
景気や経済を把握するための指標はたくさんあります。
もっと専門的だったり、多角的にとらえるために様々な指標を活用することが重要です。
例えば国内の全体的な経済動向を表すGDP(国内総生産)や会社がどれだけ設備に投資しているか、を表す機械受注統計調査というのがあります。
その中で金利はどのようなメリットがあるのでしょうか。
金利のメリット
- 日ごとの情報が得られる
- 後になって改定がない
- 影響を受ける因子が少ない
他の指標は公開されてからも改定や修正があり、確定するまでに時間がかかることもあるためなかなか扱うのが難しいです。
その点、金利は日ごとの情報が得られたり、改定がない、というメリットがあります。
しかし、どの指標も一つだけでは何もわかりません。
複数を組み合わせて、色々な角度から見て分析することが必要です。
その一つとして金利は非常に有効な指標です。
金利を予測するには?
これまでお話した通り、金利を用いて将来の景気を予測することが可能です。
それでは、その金利はどうやって予測するのでしょうか。
重要なのは、政策金利を決定する日銀の動きや見解を把握することです。
金融政策決定会合
- 日銀が実施
- 年に8回(それぞれの回は二日間)
- 政策金利を含めて、今後の金融政策について話し合われる
経済・物価情勢の展望(展望レポート)
- 日銀が実施
- 年に4回(1,4,7,10月)
- 現在の景気や株価と今後の見通しおよび、GDPや消費者物価指数の予測値などが記されている
今の日本は?
投資に必要な金利についてお話しました。
しかし、今の日本は今回お話した”金利と景気の原則”から乖離した状態です。
2013年から始まったアベノミクスの一つである、「大胆な金融緩和」によって短期金利のみならず長期金利(0.5%を超えないように)も日銀がコントロールしていました。
しかし、2023年7月の金融政策決定会合にてこの調整方針の修正が決定されました。
直後から長期金利は上昇し、0.9%を超えるタイミングもありました。
金利においては今が過渡期と言えるかもしれません。
日銀の動きは要チェックですね。
まとめ
おさらい
- 投資をする上で、市場全体の景気の予測は必要不可欠
- 金利は「経済の体温計」
- 日銀がコントロールする「短期金利」と市場の見通しが加味される「長期金利」
- 特に長期金利を見ることで予測可能
- 改定がない、など他の指標には無いメリットがある
- 金利の予測には日銀の動きをチェック
- 2023年は日本金利の過渡期
景気は複合的に決まるものです。
色んな要素があります。
こんな感じで説明しましたがまだまだわからないことだらけです。
これからも日々勉強です。
ちなみに、金利の勉強はこちらの投稿で紹介した日経電子版のコンテンツでも可能です。
それでは。